学習塾の開業前に確認すべき【7つのポイント】 将来性・収入・成功の秘訣等を解説

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今は会社で働いていますが、来年に自分で塾を開業しようと思っています。開業するにあたって何を準備したら良いか分かりません。。。また、せっかく開業するなら上手く行かせたいので、成功のポイントも教えて下さい。

最近は働き方も変わってきていて、組織の一員として永く働かずに自分のやりたいことに挑戦する人が増えてきています。

 

しかし、塾の開業のような自分で事業を立ち上げる場合はリスクが高くなります。

 

その開業リスクを下げるために、開業するまでの全体の流れや、塾を事業として軌道に乗せるために押さええておくべきポイントを知る必要があります。

 

この記事では、塾の開業に失敗しないために、事前に確認すべき7つのチェックポイントと、開業リスクを下げる方法についてご紹介します。

  • 塾の開業前に確認すべき7つのチェックポイント
  • 開業に向けて、まずやるべきこと
  塾の開業前に確認すべき7つのチェックポイント
  1.  塾業界の将来性は?
  2.  塾を開業した時の年収は?
  3.  塾を開業するのに資格は必要か?
  4.  成功するための開業の流れ
  5.  開業する際の費用は?
  6.  成功のポイント
  7.  開業をする前に副業してみる
  • 元公文社員、学習塾業界の経験が18年
  • 生徒数2倍、ホームページアクセス数2.3倍など実績多数
  • コンサルティングや関わった塾は300件以上
  • 経済産業省、ドリームゲート認定アドバイザー

①塾業界の将来性は?

少子化だが市場規模は横ばい

少子化の影響で塾業界の将来は厳しいと言われていますが、矢野経済研究所によると、学習塾・予備校の市場規模は下の図のようにほぼ横ばいです。

市場は縮小しているかと思いましたが、変わらないんですね!意外です。

コロナで一時期の市場規模は下がりましたが、少子化である一方、1人あたりの子どもへの支払額が増えていることが要因の一つです。

大都市圏の需要は高いが競争が激しい

この背景として、首都圏をはじめとする大都市圏では中学受験のニーズの高まりがあります。

 

ニーズが高まり、高い会費でも支払う保護者もいるため、事業を拡大している大手塾もあります。

 

従って、大都市圏で塾を開業する場合、塾の需要は高く、会費の設定も高くできますが、大手を始めとした競争が激しい中で生き残っていく必要がある、ということになります。

それ以外の地方では需要が減少

その他の地域、特に高校や大学の定員割れが起こっている地方では、学校過多の状況から、学力向上や受験・進学に対しる意識が下がって来ています。そして、学習塾に対する需要縮小によって、より厳しい事業環境になってきています。

 

つまり、どのような地域で塾を開業しようと思っても、それなりの厳しい事業環境がある、という認識が必要です。

 

従って、塾を開業して継続していくには、開業前のしっかりした準備が必要になってきます。

②塾を開業した時の年収は?

塾業界の平均年収

厚生労働省が毎年行っている賃金構造基本調査によると、令和4年の「教育、学習支援業」の平均賃金は377.7万円でした。

 

この中には中小規模の塾もあれば、大手や予備校の講師なども入っているため、中小規模の塾に限ればもっと低い数字になると考えられます。

塾を開業する地域や「人」によって違う

大都市圏で富裕層の中学校受験をメインにした塾を展開する場合、会費の設定も高く出来ますので平均年収を超えることは可能です。(もちろん、賃料や人件費も他より高くなりますので経営努力は必要ですが)

 

一方、学校が定員割れしている地方であれば、経済的な影響から会費設定も高くすることが出来ずに年収は低くなる傾向にあります。

 

とはいえ、年収は結局のところ開業した「人」で決まることが多く、生徒への指導力だけでなく、保護者とのコミュニケーション力や、生徒募集に活きるマーケティング力があれば平均年収を超えた収入も可能です。

 

また、年収を上げるためには複数の地域に塾を展開する必要があり、店舗管理や人材育成、マネジメント能力など、指導力以外の能力が必要になってきます。

自分のやりたいことは何か?と年収を比較する

塾を開業したいと思われている方は、「子どもの成長に関わる仕事がしたい」「子どもの将来の可能性を広げたい」など、仕事のやりがいを目的に開業をする人が多い印象です。

年収1,000万円は稼げなくても、これから先の人生で子どもの教育に関わる仕事をしたいと思うかどうか、ご自身の開業の目的を考えてみて下さい。

③塾を開業するのに資格は必要か?

資格は不要

塾を開業するのに資格は不要です。税務署に開業届を提出すれば事業を行うことが出来ます。

ただし、講師のプロフィールは大事

開業する際にチラシやホームページなどで生徒募集を行いますが、塾としての実績もない中で「売り」になるのが講師そのものです。

 

実際に教育の現場で生徒を指導した経験があるのなら、それをプロフィールとして記載した方が良いでしょう。

 

人柄や相性もありますが、保護者から「この人だったら、我が子を任せても良い」と思ってもらうプロフィールを考える必要があります。

 

資格は必要ありませんが、開業時に売りになる「講師のプロフィール」は必要です。詳しくはこちらに解説しています。

④成功するための開業の流れ

ここでは事務的な開業の流れではなく、開業を上手く行かせるためにやるべきことを順にご紹介していきます。

競合調査を行う

競合調査は塾を開業する際にあまり行っていない方が多いのですが、競合調査をまず行うことが大事です。

 

理由は、大手塾と同じことをやっていては、開業しても生徒が来てくれないからです。

 

開業したい地域にある塾をインターネットで検索し、ホームページを見たり、塾の口コミサイトを見ることで、ある程度の特徴をつかむことができます。

ターゲットを決める

小学生から高校生まで教えたい、という気持ちはあるかも知れませんが、開業時にはターゲットを絞った方が良いです。

 

例えば中学生と限定したうえで、「定期テスト平均点以下の生徒」や「地域で有名な〇〇高校を目指したい人」など、学力や目的を明確にするとなお良いです。

 

理由は、そのくらい違いを出していかないと、大手や他塾と差別化できずに、生徒が増えていかないからです。

教材を準備する

様々な出版社から学習塾で使える教材が販売されています。その中からターゲットや塾の特徴にあった教材を選びます。

 

定期テスト対策を行うことを売りにする場合は、教科書に準じている教材を選ぶというようなイメージです。

 

また、最近は動画やオンラインの教材も充実していますので、上手く組み合わせて来てくれている生徒を伸ばす教材を準備していきましょう。

塾の場所を探す

開業して生徒が増えるか、成功要因の一つが塾の場所です。

 

ターゲットにしている子どもが通いやすい、人通りが多い通りに面して塾の存在が分かりやすい、駐輪場・駐車場などが整備されている、などいつくかポイントがあります。こちらは後ほど詳しく解説します。

ホームページを作成する

以前の塾の生徒募集はチラシと友人からの口コミがメインでしたが、今の保護者が我が子を塾に通わせようと思う際、インターネットで情報収集を行い、比較して塾を決定する人が増えています。

 

従ってホームページを持つことは必須ですが、加えて集客につながるようにホームページを制作する必要があります。

 

ホームページからの問い合わせを増やそうと思えば、2~3カ月程度、制作に時間がかかると思って下さい。

 

開業する直前にホームページを作ろうと思って、慌てて2週間ぐらいで作ってもらったものの、ホームページからの問い合わせが少ないというケースを良く聞きますので、制作期間には余裕を持ちましょう。

収支計画を立てる

簡単でも良いので、事業の収入と支出を計算してみましょう。

 

机・椅子などの初期費用と、家賃や人件費など毎月かかる運営費用などを計算してみましょう。

 

そして、塾の会費価格をとりあえず決めて、何人ぐらい塾に来てくれたら利益が出るのかを予測でも構わないで算出してみて下さい。

 

収支計画を一度立ててみると、会費の価格は今のままで良いのか?利益を上げるために必要な生徒数は?など再検討が必要な項目が分かります。

机・椅子・備品を準備する

収支計画に合わせて、机や椅子などの物品を発注しましょう。

開業届を申請する

株式会社、有限会社など法人の形を取らず、個人事業主として塾を開業する場合、必要な書類は、

 

① 開業届出書
② 開業開始等申請書

 

の2つです。

 

①開業届出書は、税務署に届出する必要があり、身分証と印鑑があればすぐに手続きが終わります。

②開業開始等申請書は、国ではなく都道府県に「開業しますよ」と申請する書類ですので、各都道府県税事務所に提出する必要があります。

 

詳しくはこちらの記事に解説しています。開業するには個人か法人かインボイス対応開業の節約方法などもあわせて参考にしてみて下さい。

生徒募集を行う

オープンの日に向けて生徒募集を行います。

 

これから開業する個人塾に最初から多くの生徒を集めることは難しいです。従って、知り合いの子どもや自分の子ども、自分の子どもの友達など、既存のつながりで来てもらう方が確実です。

 

一方、すぐに塾に来なくても「塾を開業しましたよ」ということを地域の方に知ってもらうことは非常に重要です。

 

そのために、チラシやSNS、ホームページを活用して生徒募集を行います。最近はWEBを使った集客も有効ですので、こちらの記事を参考にしてみて下さい。

⑤開業する際の初期費用は?

個人塾

開業する場所、個人指導か集団か、事業規模によって変わりますが、約100万~500万円ぐらいが目安です。

 

主な支出項目をご紹介しますので、参考にしてみて下さい。

  • 敷金、礼金
  • 仲介手数料
  • 初月家賃
  • 内装費
マンションの一室だと安く済みますが、テナントを借りると費用はよりかかります。しかし、学習する環境を見ている保護者もいますので、マンションよりテナントの方が信頼感が高まります。
  • 椅子
  • ホワイトボード
  • パソコン
  • プリンター
  • エアコン
  • 電話
  • 清掃用具
主な備品を挙げましたがが、会場によってはパーテーションや空気清浄機が必要だったり、細かい備品の費用がかさむ場合があります。
  • ホームページ制作
  • チラシ(制作、印刷、配布)
  • 看板
開業時だけでなく、開業してからの生徒募集には必須の内容です。

アルバイトでも人を雇う場合は人件費が必要です。

 

また、個人塾の場合、自宅で開業すれば初期費用をおさえることが可能です。

 

自宅で塾を開業すると費用面でのメリットが大きいですが、デメリットもあります。自宅開業に向いている人についてこちらに詳しく解説していますので参考にしてみて下さい。

フランチャイズ

個人塾とは別にフランチャイズという形で塾を開業することも出来ます。

 

フランチャイズは教材・指導法や生徒募集のノウハウ提供などを受けられるのが大きなメリットです。ブランドとして認知が高ければ、生徒増にもつながります。

 

ただし、フランチャイズの契約先のルールを守る必要があるため、自由度に欠けてしまって自分のやりたいことが出来ない場合があります。

 

また、初期に加盟金などの大き目の金額が必要だったり、売上に応じてロイヤリティを払う必要があります。

 

フランチャイズだと物件などの条件もあり会場費が高くなる傾向にあります。また加盟金などの支払いもあるので、初期費用は約300~1,000万円程度と言われています。

以上のように開業資金についていくつかのパターンをご紹介してきましたが、開業する方の塾の経験や希望の収入によってどのような形で開業したら良いか決まってきます。

 

こちらにタイプ別の開業資金の詳細を解説していますので、あわせて参考にしてみて下さい。

⑥成功のポイント

せっかく塾を開業するなら失敗はしたくないところです。筆者の失敗事例を踏まえた成功のポイントをご紹介します。

大手塾に無い強み・特徴がある

保護者は塾を探す際に、まず大手塾から検討し始めます。大手塾はブランド力、実績もあり広告量も多いため、大手塾と同じことをしていては開業したばかりの塾は選ばれません。

 

大手塾の苦手な部分として、講師が学生アルバイトなので授業の質がバラバラ、大人数が通っているので一人ひとりの生徒の状況を理解できていない、などが考えられます。

 

競合調査を行い、他塾の苦手なところから、自分の開業する塾の強みを探してみて下さい。

 

強みの見つけ方については、こちらに詳しく解説しています。

強みを見つけてキャッチコピーを考え、地域の保護者に伝えていきましょう。

ターゲットから目につく、通いやすい立地

塾を新たに開業するにあたって、場所は非常に重要なポイントです。生徒が恒常的に入ってもらうには、下記の項目を押さえていることが大事です。

  • ターゲットの通学路、学校の近くなどターゲットが通いやすい
  • 人通りの多い道路に面していて、「最近、塾できたんだ」と通っている人から認知される
  • 同じ建物に、保護者が見て嫌がるテナントが入っていない
  • 子どもが安全に通いやすい

良い物件がすぐに見つかるケースは多くありませんので、地元の不動産屋の方と早めに関係を築き、良い物件が出たらすぐ紹介してもらうようにしておきましょう。

 

他にもいくつかポイントがありますので、こちらの記事も確認してみて下さい。

価格の安さを売りにしない

大手塾との違いを打ち出すことが大事、というお話をしましたが、価格の安さを売りにはしないことをおすすめしています。

 

理由は、教室運営と収入の2点からです。

価格が安いということは、所得層の低い家庭が入塾しがちです。

 

一般的にですが、所得層が低い家庭の生徒は、学習習慣がついていないことが多く、何かと手間がかかったり、塾のルールを守らない、というケースが増えがちです。

 

そのような生徒に振り回されると、他の生徒や塾の授業の質が下がってしまうことがあります。

 

その結果、良い口コミが増えずに生徒が増えない状況が続きます。

会費が安ければ、その分、多くの生徒を集めないと利益が出ません。

 

多くの生徒に授業を提供しようとすれば、新しい人を雇う必要があり、人件費がその分コストになります。

 

生徒一人当たりの利益が下がってしまいますので、生徒が増えても大きな収入増にはならないのです。

 

会費は、同じ地域の会費の相場と同じくらいの金額を最低ラインとすることをおすすめします。

小さな塾が価格を下げないなら、何で勝負するか、についてはこちらに詳しく解説しています。

地道な実績と信頼関係の構築

開業してすぐに何十人という生徒が来るケースは多くありません。

 

そして、生徒が急激に増える裏技のような方法もありません。

 

開業して来てもらった生徒を伸ばし、保護者ともコミュニケーションをしっかりとって信頼関係を築いていくことが、遠回りなようで一番の近道です。

 

その基本を継続的に行うことが大事です。

⑦開業をする前に副業してみる

副業で失敗のリスクを抑える

最近の働き方改革によって、副業を認めている会社もあります。

 

もし副業が可能であれば、本格的に開業する前に副業として始めるという方法もあります。

 

小さなしてみて、上手くいきそうだという手ごたえをつかんだら開業する、という流れです。

平日の一部、週末を使って副業する

できるだけコストを押さえながら、小さく始めるのがポイントです。

ご自身にお子さんがいれば、お子さんやその友達から始めてみましょう。地域の知り合いの方を紹介してもらうのも良いかも知れません。

 

筆者が勤務していた公文という会社は、創業者の父が我が子に問題を作成して子どもの成績を伸ばしました。それが評判になって子どもの友人や近所の生徒を教えるようになり、会社を作ったという歴史があります。

 

まずは身近なところから始めてみると良いでしょう。

少人数で行いますので、自宅の一室やダイニングなどを使って行います。
分からないところを教える、という方法もありますし、来てくれる子どもに応じて教材を選ぶ方法があります。 これをきっかけにどんな教材があるかも調べてみましょう。

生徒を指導した経験が無い方は、このような機会を使って子どもを伸ばす経験を作り、それを実績に開業するというのも考えられます。

 

既に塾で働いていて、自分で開業したいと思っている方であれば、自分なりの指導方法を試すことも可能です。

 

小さい形で初めてみると、開業した際のリスクを減らすことが出来るのです。

大手塾などでアルバイトする

特に塾で働いたことの無い方は、塾で週1~2回程度アルバイトする方法もあります。

 

大手ですと個別指導のアルバイトを募集していることが多く、塾で教えるという経験だけでなく、大手塾の塾運営なども学ぶことが出来ます。

開業に向けて、まずやるべきこと

以上のように、開業前にやる7つのポイントをお伝えしましたが、まずは自分が開業したいと思っている地域にどんな塾があるか検索することから始めて下さい。

 

開業したい地域が決まっていないなら、今住んでいるところでも構いません。

 

そして、それらの塾と違った自塾の強みは何になるのか?ということを考えてみて下さい。

 

自分で考えても分からない場合があると思いますので、その際はこちらよりお問い合わせ下さい。一緒に開業する塾の強みを考えていきましょう。

 

塾を開業することは人生の転換点でもあります。筆者は学習塾勤務を辞めて今の会社を立ち上げており、開業する方の気持ちは他の方より理解できます。開業に関するお悩みや相談などありましたら、何でもお気軽にご連絡下さい。

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目次

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