【個人・法人別】塾の開業には何の届出が必要?インボイス対応は?開業節約術もご紹介

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3カ月後を目標に学習塾を開業しようと思って準備を進めています。物件探しなど準備で大変なのですが、そういえば役所に届出に行く必要があるのかな?と疑問に思っています。

学習塾を開業するのに資格は不要ですが、役所に書類を提出したり、いくつか届出が必要です。

 

また、個人事業主で開業しようと思っている方もいると思いますが、法人で開業した方が良い場合もあります。

 

この記事では、個人・法人のどちらで開業すべきかと、それぞれの届出すべき書類について分かりやすくご紹介します。

 

また、最近よく聞くインボイス制度についての対応や、法人開業の節約方法についても解説します。

  • 塾を開業するには個人?法人?
  • 塾の開業手続に必要な届出
  • 開業だけでなく年金・保険関係の届出も必要
  • インボイス制度にはどう対応すべき?

  • 法人設立費用を節約する方法

  塾の開業手続に必要な届出
<個人事業主のみ>

  1.  開業届出書(必須)

<法人のみ>

  1.  法人設立届出書(必須)
  2.  給与支払事務所等の開設届出書(法人で役員報酬・給与支払いがある場合)

<共通>

  1.  開業開始等申請書(必須)
  2.  青色申告承認申請書(任意)
  3. 源泉所得税の特例承認に関する申請書兼納期の特例適用者に係る納期限の特例に関する届出書(任意)

<年金・保険関係(主に法人)>

  1.  健康保険、厚生年金保険(個人でも従業員5名以上の場合)
  2.  雇用保険(従業員を雇う場合)
  • 元公文社員、学習塾業界の経験が18年
  • 生徒数2倍、ホームページアクセス数2.3倍など実績多数
  • コンサルティングや関わった塾は300件以上
  • 経済産業省、ドリームゲート認定アドバイザー

塾を開業するには個人?法人?

個人事業主と法人の違い

まずは個人事業主と法人の違いを確認したいと思います。下は開業だけの話ではなく、事業を始めてから廃業するまでの内容です。

個人事業主 法人
開業・設立
開業届を提出し、費用は0円
定款や登記が必要で、費用は約24万円
事業の廃止
届出のみ
解散登記や公告する必要があり、費用もかかる
信用
一般的に低め
一般的な信用を得やすいが、保護者視点だと法人かどうかの影響は少ない
経理
個人の確定申告が必要
法人内での処理は可能だが、決算書は税理士に依頼する必要がある
社会保険
5人未満なら会社負担なし
会社負担あり
それぞれ特徴がありますので、まず基本知識としておさえておきましょう。

1.2 個人事業主のメリットとデメリット

  • 開業の手続きが簡単
  • 税務の申告が費用をかけずに一人で出来る
  • 法人税より所得税が少ない場合がある

法人に比べたら、開業の手続きや経理処理などは簡単にお金をかけずに一人で出来ます。経理処理を外部の会社にお願いする場合でも、個人事業主の方が依頼相場は安く済むのもメリットです。

 

また、とくに塾を開業したばかりで収入が少ない段階であれば、支払う税金は法人より低くなります。

  • 人を雇う場合に苦労する
  • 利益が大きくなると税負担が増える

もし、生徒数が増えて人を雇うようになった場合、法人よりは個人事業主の方が信用力が低いため採用に苦労する場合があります。

 

いまはどの企業でも人材確保に苦労しています。特に塾業界でも良い人が採用できない、定着しないなど人材に関して課題のある企業が多いです。

 

アルバイトであれば、法人かどうかより時給の高さや交通アクセスなどの方が重視されるかもしれませんが、人を雇う場合にデメリットになりうることはお知りおき下さい。

 

また、個人事業主が支払う所得税は、法人と違って利益があがるにつれて段階的に上がっていきます。加えて、個人事業主は必要経費に認められる範囲が法人より狭いため、生徒数が増えるほど法人の場合より税金が高くなります。

法人のメリットとデメリット

  • 節税メリットが大きい
  • 資金調達しやすい
  • 信用力が高まる
  • 社会保険に加入できる

税金については個人事業主と逆ですので、節税メリットが大きくなります。法人は会社の規模で税率が決まるため一定で、認められる経費の範囲が広くなります。

 

また、法人の場合は信用力も高まりますし、信用力が高くなれば銀行などから融資などの資金調達が有利な傾向にあります。

 

社会保険に加入すると、保険料の半分を会社が負担することになりコストは増えますが、支出が増えることで法人税額を抑えられます。さらに、社会保険に加入していると求職者にとっては福利厚生のアピールにもつながります。

  • 開業手続きや会計が手間
  • 赤字でも税金を払う必要がある
  • 社会保険に加入すると人件費の負担が増える

個人事業主に比べて法人の方が開業時や会計手続に手間と費用が掛かります。

 

費用の面だと、社会保険に加入しなければならないので、その分の人件費もかかります。また、赤字でも年に5~7万円の税金を支払う必要があります。

結局どちらが良い?

下記のうち一つでも当てはまる人は法人での開業を検討してみて下さい。
  • 開業時から人を雇うことを決めている人
  • 銀行などから資金調達をしようと思っている人
  • 複数の事業所で塾を展開しようと思っている人

個人塾として小規模で実施するより、テナントを借りて事業を大きく広げようと思っている人は、最初から法人の方が良いかも知れません。

  • 上記以外の人

上記以外の人であれば個人事業主で開業する方がメリットが多いです。

 

ただし、生徒数が多くなると法人にした方がメリットが高くなりますので、将来は法人化することも視野に入れて下さい。

 

節税効果などは実際に計算してみないと分かりませんので、売上が上がってきたら節税のシミュレーション等を行い、法人化も検討してみて下さい。

それでは次から開業手続きの仕方について解説していきます

塾の開業手続に必要な届出

個人事業主の場合

種類 開業届出書
特徴
A4の届出書1枚のみで簡単に作成できます。作成にはマイナンバーが必要です。
提出期限
事業の開始等の事実があった日から1月以内
届出先
納税地を所轄する税務署長

国税庁のサイトから書類をダウンロードできますし、書き方の資料も見ることが出来ます。

法人の場合

種類 法人設立届出書
特徴
法人設立届出書を提出する前には、「定款」を作成し公証役場で認証された後、法務局での登記申請が必要です。そのため、1~2か月程度の準備期間が必要になります。
提出期限
法人設立の日(設立登記の日)以後2か月以内
届出先
納税地の所轄税務署長

国税庁のサイトから届出書をダウンロードできます。

 

特徴の部分でも記載しておりますが、届出の前に定款などを作成し、登記する必要がありますので、法人の場合は日程に余裕をもって準備して下さい。

会社を設立して初めて、代表者に役員報酬を支給することとなった場合、または、従業員やパート・アルバイト等を雇用して給与を支給することとなった場合にこの届出を提出します。
種類 給与支払事務所等の開設届出書
特徴
A4の届出書1枚のみで簡単に作成できます。法人番号が必要です。
提出期限
開設の事実があった日から1か月以内
届出先
給与支払事務所等の所在地の所轄税務署

国税庁のサイトから届出書はダウンロードできます。

 

多くの塾では役員報酬、または給与の支払いが発生しますので、こちらの書類も準備下さい。

共通

こちらは国ではなく、各都道府県に提出する届出になります。従って書式や提出期限などは都道府県によって違いますのでご注意下さい。

種類 開業開始等申請書
特徴
A4の届出書1枚のみで簡単に作成できます。住所や名前など簡単な記載事項のみです。
提出期限
各都道府県が定めた日
届出先
各都道府県税事務所

例えば東京都であれば、東京都主税局から届出はダウンロードできます。個人事業主の場合はこちら、法人の場合はこちらです。

納税の方法として青色申告と白色申告がありますが、青色申告の方が節税できますので、青色申告の申請をご紹介します。

 

<個人事業主の場合>

種類 青色申告承認申請書
特徴
A4の届出書1枚のみで簡単に作成できます。
提出期限
青色申告書による申告をしようとする年の3月15日まで
届出先
納税地を所轄する税務署長

国税庁のサイトから届出をダウンロードできます。

 

<法人の場合>
青色申告といえば個人事業主のイメージがあるかも知れませんが、法人でも申請が出来ます。赤字が出た時に、その赤字を翌年度以降に繰越すなどのメリットがあります。

種類 青色申告承認申請書
特徴
A4の届出書1枚のみで簡単に作成できます。帳簿組織の状況など、記載の仕方が分からない部分もありますので、「法人 青色申告書 書き方」で検索してみて下さい。
提出期限
設立の日以後3月を経過した日と当該事業年度終了の日とのうちいずれか早い日の前日まで
届出先
納税地を所轄する税務署長

こちらも国税庁のサイトから届出をダウンロードできます。ただし、個人事業主と個人では申請書が違いますのでご注意下さい。

この申請を行うと、毎月払う源泉徴収税を6カ月分の源泉徴収税をまとめて2回に分けて支払うことができます。

 

これによって毎月の事務処理が軽減され、猶予された源泉徴収税を運用して資金繰りを容易にすることが可能になります。

種類 給与支払事務所等の開設届出書
特徴
給与を払っている人数が10人以下であることが条件です。A4の届出書1枚のみで簡単に作成できます。
提出期限
特にありません。原則として、提出した日の翌月に支払う給与等から適用されます。
届出先
給与支払事務所等の所在地の所轄税務署

こちらも国税庁のサイトより届出をダウンロードすることができます。

まとめると、必ず提出しなければならない届出は、個人事業主だと『開業届出書』と『開業開始等申請書』の2つ。法人だと『法人設立届出書』と『開業開始等申請書』の2つですかね。

その通りです。加えて、法人だと『給与支払事務所等の開設届出書』を届出る必要があるケースが多いです。それ以外の届出は希望する人が対象ですので、ご自身の事業に必要な届出を確認してみて下さい。

開業だけでなく年金・保険関係の届出も必要

開業するには今までお伝えした内容の手続きが必要ですが、これらは個人事業・法人としての届出になります。

 

個人として、法人の役員・社員として働く場合、次のような届出も必要になります。

健康保険、厚生年金保険(個人でも従業員5名以上の場合)

法人で開業した場合、もしくは個人でも従業員が5名以上の場合は下記の手続が必要です。

健康保険と厚生年金保険に加入するための手続で、会社設立の日から5日以内に会社本店の所在地を管轄する年金事務所へ提出する必要があります。

 

法人の場合は、履歴事項全部証明書又は登記簿謄本、個人の場合は、事業主の世帯全員の住民票の提出も必要です。

開業時から従業員を雇用している場合に手続きが必要な書類で、従業員を健康保険・厚生年金保険に加入させます。

 

こちらの提出期限は、雇用開始の日から5日以内です。

また、従業員の家族を被扶養者にする場合は、こちらの届出の提出が必要です。

 

いずれも、日本年金機構のサイトからダウンロードできます。

雇用保険(従業員を雇う場合)

下記の要件に該当する従業員は、雇用保険の対象となります。
  • 1週間の所定労働時間が20時間以上
  • 31日以上の雇用見込みがある
その場合、下記の届出が必要です。

ハローワークのサイトで情報を入力して作成できます。

 

従業員を初めて雇用した日から10日以内にハローワークへ提出する必要があります。

 

提出時には、「保険関係成立届」の写しと、「雇用保険適用事業所設置届」と、「雇用保険被保険者資格取得届」または「雇用保険被保険者転勤届」の提出が必要です。

 

こちらは、「保険関係成立届」と「労働保険概算保険料申告書」を所轄の労働基準監督署へと提出すれば手に入れられる書類ですので事前の準備が必要です。

 

これらの書類はパソコンで印刷したものは使えませんので、ハローワークか労働基準監督署に取りに行く必要がありますのでご注意下さい。

こちらもハローワークのサイトに情報を入力して作成することが出来ます。

 

なお、今までの手続については2024年2月末時点での内容です。最新情報は国税庁等のホームページでご確認下さい。

インボイス制度にはどう対応すべき?

結論から言うと、開業時にはインボイス制度の対応は不要です。

 

学習塾の開業時の資本金は1,000万円以下が多く、初年度から売上が1,000万円を超えることは少ないです。

 

そのため、多くは免税事業者として開業することになります。また、学習塾の顧客は個人の消費者であるため、インボイスの登録は必要ないと考えられます。

法人設立費用を節約する方法

法人設立には約24万円ほど費用がかかりますが、下記の2点の方法を使えば約半分の費用負担になりますのでご紹介します。

定款を電子認証にする

法人設立時に作成する定款を作成した場合、印紙税法により収入印紙が4万円かかります。その定款をPDFファイルで作成し、申請する(電子定款)と、その収入印紙の費用が0円となり、4万円の節約になります。

 

詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

起業支援している自治体の起業研修を受ける

自治体の起業支援の施策として「特定創業支援等事業」というのがあります。

 

これは、自治体が行っている一定の検収や面談など条件をクリアすると、特定創業支援等事業による支援を受けたことの証明書をもらうことができるという事業です。

 

この証明書を会社手続きの際に提出すると、7.5万円分の税金が免除になります。

 

研修や面談を受けることで、自分の開業にもプラスになるので、おすすめの制度です。

 

「〇〇(開業地域の自治体名) 特定創業支援等事業」で検索してみて下さい。

 

詳しくは、こちらの記事で解説しています。

まとめ

このような事務手続きは理解するのに時間がかかったり、書類の作成に手間がかかったりしますので、資金に余裕があれば外部の会社に依頼することも一つの方法です。

 

開業する際には他にもやることがありますので、そちらに時間を費やす方が効率的かもしれません。

 

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