現在、自塾に来ている生徒は塾の学習を通じて学力が伸びていると感じています。しかし、それがなかなか自塾の評判や口コミにつながりません。なぜでしょうか?
口コミのベースとなる要素が「学習塾に通うことで子どもの学力に良い変化が生まれる」ことです。口コミが広がらない理由はいくつかありますが、まずはこのベースをおさえておくことが大事です。
いやいや、塾講師の経験が長いからそこは大丈夫、と思われている方もいるでしょう。
しかし、生徒が増えなくて悩んでいる場合は、原因をひとつ一つ確認することが大事です。
ある時期、コンサルティングをしていた約50の学習塾の生徒が増えない理由を分析したところ、約3割の学習塾が「指導力」に課題がありました。
子どもの学力などに良い変化が生まれる=指導力が高い、とすると、口コミを生むには指導力を高める必要があります。そして、指導力を高めたかどうか判断するには、指導力を定量化することが有効です。
この記事では、指導力を定量化することで、口コミのベースとなる子どもに良い変化を起こす指導力を定量化する方法、そして指導力の改善の仕方が分かる記事になります。
- この記事で分かること
- 指導力が高いと思いこんでしまう理由
- 指導力を定量化するポイント
- 定量化した結果の活用の仕方
- サマリー
指導力を定量化するポイント
- 自塾の強みを定量化する
- 塾外の数値も定量化する
- 複数の指標を持つ
定量化した結果の活用の仕方
- 目標設定する
- 全体と個人で経過を追って指導力を高める
- この記事の信頼性(筆者プロフィール)
- 元公文社員、学習塾業界の経験が18年
- 生徒数2倍、ホームページアクセス数2.3倍など実績多数
- コンサルティングや関わった塾は300件以上
- 経済産業省、ドリームゲート認定アドバイザー
自塾の指導力が高いと思い込んでしまう理由
一部の保護者の声の印象が強いから
人は感謝されたり、褒められたりすると記憶に残りやすいものです。
例えば20人のクラスの中で、2~3名の保護者から「塾に行って学校の成績も上がりました、ありがとうございます」のような話を聞くと、自塾の指導力には問題が無い、と思います。
この場合、2ケースあります。
一つは、話を聞いた2~3名以外の多くの保護者も、「塾に行って成績が上がった、もしくは塾に行かせて良かった」と思っているケース。
もう一つは、2~3名以外の多くの保護者は、「塾に通わせても、もちっとも成績が上がらない、塾に行く意味があるのだろうか?」と思っているケースです。
前者だと良いのですが、後者だと一部の保護者の声を聞いているだけで、現実を正しく認識していないことになります。
学習塾内での学力しか把握していないから
塾では出来ている学習内容が、学校や試験では出来なかったりすることがあります。
保護者が求めているのは、「学校や試験で我が子が力を発揮して良い結果を残して欲しい」ことです。
塾で出来ているから大丈夫、とはせずに学校や試験でも結果が出る指導が必要になります。
以上のように、指導力が高いと思い込んでしまった理由は、
- 保護者の一部の声だけで指導力の高さを判断していた
- 塾だけの様子や結果で学力がついていると判断していた
という2点でした。
それでは、どうすれば正しく指導力を判断できるか、についてです。
上記2点の原因を解決し、自塾の指導力を正しく把握するポイントは、
- 全ての生徒の学力を定量化する
- 自塾だけでなく、学校や対外試験の結果も収集する
これから、具体的に定量化する方法をご紹介します。
集客のために指導力を定量化するポイント
自塾の強みを定量化する
定量化すると、生徒一人ひとりの情報を何度も集めないといけないので大変そうですね、、、
そうですね、塾側も手間がかかりますし、生徒側も自分の成績を塾に教える必要がありますのでお互いにとって手間です。
しかし、正しく生徒の学力を把握できていないと、そもそも良い授業は行えませんよね。
また、定量化するポイントとして、「自塾の強み」を見える化することをお勧めしています。
せっかく手間をかけて指導力を定量化するなら、その数字を使って学習塾の集客に活かせないか、というのが筆者の考え方です
チラシやホームページでキャッチコピーを考える時、数字があった方が説得力が増します。高校合格率〇%、入塾後の成績UP率〇%、などです。
具体的な数字で自塾をアピールし、集客につなげるという点も含めて具体的な定量化の仕方をご紹介します。
- 受験
- 高校別の合格率
- 第一志望の高校の合格率
- 入塾時の偏差値より上位の高校に合格した割合(人数)
のように、割合で数値化してみましょう。
また、割合や何人合格できたかどうか、だけでなく自塾でどの程度学力が付いたかも大事です。
偏差値60で入塾した生徒が、偏差値60の高校に合格する実績だけ持っている塾より、偏差値50以下で入塾した生徒が偏差値60の高校に合格できる実績を持っている塾の方が指導力は高いと言えます。
- 成績
これは学校の成績や、定期テストの結果です。
学校の成績UPを売りにしている塾が、学校の成績を毎回把握していないケースも伺います。
成績も定期テストも頻繁に結果が出ますので、毎回把握することが大事です。
また、定期テストはテストを作る先生によって難易度が違いますので、可能な限り学校の平均点も把握するようにしましょう。
- 学習姿勢
「学習姿勢」や「やる気」を強みにしている塾もあるのではないでしょうか?
そのような目に見えない学力や能力も定量化する方法があります。
やり方は、生徒にアンケートを取る、という方法です。
「学習姿勢」や「やる気」に関連するアンケートの結果から、学習姿勢・やる気がどの程度あるのか定量化できます。
例えば「やる気」に関しては、『知的好奇心尺度の作成』(西川・雨宮)の論文から、下記のアンケート項目が考えられます。
- 新しいことに挑戦することが好きだ
- 誰もやったことのない物事にとても興味がある
- 今までやったことのない課題にもよろこんで取り組める
という質問に5段階で評価してもらって、それを平均値化すれば定量化できます。
どんなアンケートを取れば良いか分からない方は、心理尺度集などに学習姿勢や能力、気持ちの部分を測定するアンケート項目が記載されていますので参考になると思います。
塾外の数値も定量化する
全国統一テストが年に1回実施されていると思います。
学習塾では未入塾の学生に受験してもらい、その結果で保護者と面談して入塾を勧めるということで活用している塾もあるかと思います。
生徒募集の観点だけでなく、既に入塾している生徒の学力を測る上でも役に立ちます。
また、各都道府県内で実施されている独自の試験もあると思います。そのような試験を活用し、自塾の生徒の学力を「客観的に」分かる数値を持つことが大事です。
複数の指標を持つ
合格実績を売りにしている塾は、その結果が分かるのは年に1回しかありません。
その1回の結果を待っているだけでは指導力は測れませんので、最低でも学期ごとに1つの指標を持ち、継続的に数字を見ていくことが指導力の把握につながります。
また、学校の成績の情報は生徒からもらっている、という塾もあると思いますが、その個人の成績を集計していますか?
同じ情報でも、クラス、学年、学期など複数の指標を持つことができます。そしてその合計値を比較することで違いが明らかになります。
同じ成績という個人の情報だけでなく、集計していくつかの指標を作ることが大事になります。
指導力を定量化した結果の活用の仕方
目標設定する
生徒の意欲を引き出すために、生徒自身に目標設定をさせている塾もあると思いますが、塾の指導力についても現在の数値をどこまで伸ばすか目標を設定することが大事です。
結果だけ見て良し悪しを判断するのではなく、なぜそのような結果になったかが大事です。
生徒に「目標を持って頑張れ」と言っていることを、自分でも実践しましょう、ということですね。
全体と個人で経過を追って指導力を高める
個人、クラス、学年などそれぞれの数値を分析して比較することが大事です。
例えば、20人のクラスで、定期テストの目標値の平均の数値が前回に比べて「5」改善されたとします。
増えた理由が、2~3名だけ突出して伸びた場合か、全体的に「5」程度改善したのか、元々成績が高い層だけが伸びている傾向にあるのか、など様々な要因が考えられます。
その要因によって授業の仕方も変わってくると思いますので、全体の傾向を確認しながら、個人の成績も把握し、それを踏まえて授業の内容を検討していくと、指導力もあがっていきます。
まとめ
筆者は公文という会社で働いていましたが、公文では「学校で習っていない内容でも自分で学習できる」ということが大きな特徴でした。従って、「全ての生徒のうち、学校で習っていない内容まで学習が進んでいる生徒の割合」を指導力を示す指標にしていました。
そしてこの数字を目標値として指導力を高め、口コミの源を作っていました。
塾の特徴にあわせて独自の指標を作ることで指導力を高めることも出来ます。弊社では、指導力の定量化について独自の指標を作成するお手伝いもしています。
また、指導力を高めるために、どのような指標にして良いか分からない、今まで学校の成績を指標にしているけどどのように活用して良いか分からない、などありましたらこちらからお問い合わせ下さい。無料でご相談させて頂きます。
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