最近の少子化が進んでいるニュースを見ているとこれからの塾経営が不安です。少子化に対してどんな対応をしたら良いでしょうか?
出生数が初めて80万人を割った、みたいなニュースを聞くとこれからの塾経営をどうしたら良いか心配になる気持ちは良く分かります。
少子化対策などは行われていますが、すぐに効果が出る訳ではないので塾でも対応策を考える必要があります。
また、現在は「不確実な時代」と言われており、先行きが不透明で将来の予測が難しい中で、様々な経営判断をする必要に迫られてきます。
今までの経験から、これから塾で経営する上では「自分の軸を持ちながら、不確実な世の中に応じた戦略を考え、実行できる力」が必要だと考えています。
- この記事で分かること
- 今は「不確かな時代」という認識が必要
- 塾経営のベースとなる力
- 塾の経営は戦略を立てる力が大事
塾を拡大するために必要な力
- 自分・自塾の軸は忘れない
- サマリー
これからの塾経営に必要な9つの力
- 指導力
- コミュニケーション力
- 理想をイメージする力
- 世の中の状況を把握する力
- ニーズを深く知る力
- 客観的に自塾を見つめられる力
- 計画できる力
実践・検証できる力
- 人材を育成できる力
- この記事の信頼性(筆者プロフィール)
- 元公文社員、学習塾業界の経験が18年
- 生徒数2倍、ホームページアクセス数2.3倍など実績多数
- コンサルティングや関わった塾は300件以上
- 経済産業省、ドリームゲート認定アドバイザー
今は「不確かな時代」という認識が必要
今はVUCA(ブーカ)時代と呼ばれています。
VUCA(ブーカ)という言葉を聞いたことが無い人がほとんどだと思います。VUCAとは、先行きが不透明で、将来の予測が困難な状態を意味します。
- V(Volatility:変動性)
- U(Uncertainty:不確実性)
- C(Complexity:複雑性)
- A(Ambiguity:曖昧性)
20年前だと、60歳で定年退職して、その後は年金で悠々自適に老後を暮らせる時代でしたが、今はそうではありません。
少し前だとスマホの登場、最近だとAIのような技術革新によって我々の生活は大きく変化してきました。20年前にこのような状況を誰が予測できたでしょうか?
今までの常識が非常識に、非常識だと思っていたものが、この先の常識になることもあり、まさに先が読めない時代を私たちは生きています。
教育業界での不確実性
AIの影響で、日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等に代替可能、という調査結果が出ています。
今、塾に来ている生徒の多くは、就職する際にこのような課題に直面します。
また、コロナ以降に生徒数が増えないと悩んでいる塾が増えています。コロナ前は口コミで生徒が増えていましたが、現在は保護者がインターネットを使って塾を探すようになり、その対応に遅れているというのも原因の一つです。
これも正に予期できない不確実な時代の一つの事実です。
それではこれから、今の不確実な時代、少子化が進む塾業界で生き残るため、塾の経営に必要な9つの力をご紹介します。
9つの「力」をご紹介しますが、1人の個人経営の塾であれば「個人の力」、スタッフもいる塾であれば「自塾全体の力」として読み進めて下さい。
また、全ての力がある人や塾は限られていますので、出来ていないところは少しずつ実践しながら高めていくイメージです。
塾経営のベースとなる力
①指導力
今塾に通ってもらっている生徒を伸ばすには指導力が必要です。ここは皆さん日頃より研鑽を積まれて実践していることかと思います。
指導力があるかどうかを確認するには、指導力を「定量化」することがポイントです。詳しくはこちらの記事を参考にしてみて下さい。
②コミュニケーション力
こちらも取り組まれている塾がほとんどかと思いますが、「保護者に自塾に通うことの価値をしっかり感じてもらっている」状態にすることです。
保護者アンケートなどで「塾を友人に紹介したい」と思うレベルまで満足していると、口コミにもつながります。
個別指導塾のニーズが高いのは、保護者が「我が子の学習をしっかり面倒みて欲しい」ということの現れですので、保護者が満足するコミュニケーションの方法を今後も模索する必要があります。
塾の経営は戦略を立てる力が大事
簡単に言うと、「なりたい理想をイメージし、現状を正しく捉え、理想と現状のギャップを埋めるために、何をすべきか考える」ということです。
③理想をイメージする力
将来、自分の塾をこんな風にしたい、こうなったら良いなどのイメージはありますか?
例えば下記のような内容です。
- 生徒数が〇人になる
- 〇〇で地域一番になる
〇〇な子どもを育てる
毎年〇〇校に〇名合格者を出す
- 〇〇といえば、自塾と思ってもらえる塾にする
- 年間の売上〇〇円
- 47都道府県に校舎を建てる
〇〇な世の中に貢献する
- 海外展開する
来年でも、5年後でも、遠い将来でも時期はいつでも構いません。
塾業界は忙しい方が多いので、どうしても日々の業務に忙殺されて、先のことを考える時間を持たない方が多いです。
塾を経営するにあたって、活動の方向性を決めることは大事ですので、理想をイメージすることが大事です。
イメージしたら、その内容を書きだしてみましょう。最初はしっくり来なければ、行動しながら修正していきましょう。
④世の中の状況を把握する力
世の中の変化にあわせて、子どもの状態や保護者のニーズも変化していきます。それを知るためには、世の中の状況を把握することが大事です。
- 学習指導要領がどのように変わったか
- 変わった結果、学校現場では何が起きているか
- 変わった結果、塾業界では何が起きているか
- 最近人気の塾はどこか
- その塾の人気の理由は何か
- どんなオンライン学習が流行っているのか
- 1家庭が塾に支払っている金額の平均はいくらか
- タブレットやIT機器を使うと学習効果が上がるのか
- 地元の学校の入試の競争率は下がっているのか
- 子ども向けの補助金はいつ、いくら出るのか
大きな話から、地域ならではのことまで様々です。
インターネットでも情報は得ることができますし、書籍やオンラインセミナーなどでもまとまった情報を得ることができます。
世の中の情報を知っていくと、新しいアイデアが浮かびやすくなります。忙しい方が多いとは思いますが、意図的に情報収集する時間を作ることも大事です。
最初に、「不確実な時代」とお伝えしましたが、そんな時だからこそ、世の中の変化にアンテナを立てておくことが大事なのです。
⑤ニーズを深く知る力
例えば、「学校の成績、特に英語の成績が悪くて塾を探している」という家庭が増えたとします。中学校の学習内容が以前より難しくなっているというのは現場では強く感じていることと思います。
それに対して、英語の対策を強化したり、英語のキャンペーンを行う、などの方法がありますが、もう一歩深くその原因を考えてみます。
- 小学校の英語は話して「伝わる」ことを重視している
- そのため、英語が「身につく」レベルまでに達していない子どもが多い
- 中学校の授業では文法は自習させるところもあるため子どもによって習熟度が違ってしまう
- 大学入学共通テストでは、英語の単語数が増えている
- 大学入学共通テストでは、英語の読むスピードの速さが求められている
- 英語教育改革は「聞く・話す」の音声学習に力を入れている
- 中学生で英語がつまずく人が増えていることを保護者に伝える
- 塾ではつまずいている人でも成績を上げることができることを伝える
- 英語のキャンペーンを小学生向けにする
- 塾で英検対策を始める
など、「英語の成績を上げてほしい」というニーズに対して、その原因を深堀していけば、キャンペーンの内容も明確になり保護者にもより具体的に塾の価値を伝えることができます。
ニーズの原因を明らかにするには、④世の中の状況を把握した知識が役に立つことがありますよ。
⑥客観的に自塾を見つめられる力
理想と現実のギャップを埋めようとすれば、現実を正しく認識する必要があります。
先ほどの英語の例で言うと、英語に力を入れようとしたとき、自塾ではどの程度の英語の指導力や実績があるか?という現状を知ることです。
例えば、同じ地域の塾のホームページを確認してみて下さい。実績を公表しているところがありますので、それと比べて自塾はどうか、ということが分かります。
もし、実績が記載されていなければ、競合の塾に無いような自塾のアピールする材料にもなり得ます。
もし、他の塾の実績の方が高ければ、英語の指導力も磨きつつ、英語のキャンペーンを行う必要があることが分かるのです。
また、人に聞いてみることも自塾の現在地が分かります。
塾で働いていた時、違う塾で働いている友人にその塾について聞いたり、違う業界で働いている人に自塾のイメージを聞くと、自塾の良いところ、出来ていないことが良く分かりました。
⑦計画できる力
実現したい理想があり、現状とのギャップがある中で、世の中の状況やニーズを踏まえ、実現するための計画を立てる力です。
これを自分で考えてみたり、塾内のスタッフと一緒に考えて自由にアイデアを出すと良いです。
しかし、そう言われてもアイデアが出ないという方のために、いくつかの切り口をご紹介します。
- WEB集客
冒頭でもお伝えしたように、保護者が塾を選ぶ際にインターネットの情報を参考にするケースが増えています。塾業界ではWEBを使った生徒募集が大手塾を含めて遅れていますので、やれることは多い分野です。
- オンライン学習の導入、差別化
コロナの影響でオンラインだけで簡潔する教育サービスが増えました。それを上手く取り入れて塾の付加価値を向上させることが考えられます。
また、逆に「塾に通うことの良さ」を打ち出してオンラインとは逆の施策を打つことも考えられます。
- 受け入れ学齢を下げる
塾の売上を増やす方法は生徒数が増やすだけではありません。1人あたりの在籍期間を延ばせば、塾の売上は増加します。
中学生メインの塾であれば、先ほどの英語のように英語を切り口に小学生の入塾者を増やす、という方法も考えられます。
- 新しい教科の導入
プログラミング学習は楽しみながら学べることもあり、ニーズが高まっています。またアクティブラーニングなどを導入して、教え方を変える塾もあります。
- 基礎学力向上
アクティブラーニングを学校で取り入れることで、基礎学力が足りない子どもが増えています。そのような子ども向けのサービスやキャンペーンなどを行うことも考えられます。
これはあくまでも切り口の参考なので、自由な発想で考えてみて下さい
塾を拡大するために必要な力
⑧実践・検証できる力
- とにかくやってみる
やった方が良いのは分かるけど、時間がなくて、、、
そのようなことを言われる方は多いです。実際に忙しくて時間が無いのも良く分かります。
しかし、やれない理由を並べるより、どうやれば出来るかを考えるという思考を持ってみて下さい。やらないと何も変わらないので、とにかくやってみるという行動力が大事です。
- 社外の力を活用する
計画はいくらでも出せるけど、塾内の人も足りないし、専門性も無いから実現が難しいんですよね。。。
そのような塾の方が多いと思います。今まで指導に大きな力を入れてきた塾が多いので当然です。
しかし、これもどうすれば実行できるかを考えてみて下さい。
一例として、何か計画を実現するために、その分野の専門の会社に依頼したり、他社と連携するなど、塾外のパートナーと一緒に取組むことで、計画の実行性を高めることなどが考えられます。
- やりっぱなしにしない
計画を実行する際に、結果が良ければなぜ良かったか、悪ければなぜ悪かったのか、原因を知ることが大事です。
その繰り返しで、実行の質もあがっていきます。
⑨人材を育成できる力
経営者一人が張り切って頑張っても、なかなか継続が難しく、新しい取り組みも拡大しません。
自分の想いに共感し、それを一緒に行動してくれるスタッフを人材育成できる力が重要になってきます。
9つの力は良く分かりました。でも、やろうと思うとなかなか大変ですね、、、
冒頭でもお伝えしましたが、9つ全て出来る人や塾は限られていますので、出来そうなところから一つずつ取組んでみて下さい。
自分・自塾の軸は忘れない
最後に一つ注意点です。
世の中の流れや動きに敏感になると、その流れに応じて方針や行動が180度ぐらい変わってしまう方がいらっしゃいます。
ご自身や各塾には、それぞれ大事にしている価値観や理念、考え方があると思います。それを軸としてしっかり持ちながら、今後の経営方針や施策を考えることが大事です。
一つ軸があると判断基準の一つになってブレませんので、軸は忘れないようにして下さい。
塾経営についてご説明してきましたが、もしかしたら更に悩みが増えてしまった方もいらっしゃるかもしれません。また、言っていることは分かるけど、結局何をしたら良いか、何から始めたら良いか分からない方もいると思います。
経営者は孤独ですので、なかなか塾内で相談できる人も限られます。何かお悩みがありましたら、こちらまでご連絡下さい。
無料相談を実施していますので、お気軽にご連絡下さい。